契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
でも、そんな風に感じているのは私のほうだけかもしれない。
契約結婚という特殊な関係を求めた七央さんは、自分の平穏な毎日のために私との契約を続行している。
食卓を囲んだり、家事を共同作業で片付けたり、そんな時間を過ごすと本物の夫婦のような錯覚に陥るけれど、はじめに交わした契約書通り、家での働きに対しての報酬がきっちりと私には振り込まれてきている。
七央さんから入金されてきた記録を目にするたび、現実に引き戻されるような、どこか虚しさのようなものを感じてしまう。
自分だって納得の上で割り切って交わした契約なのに、今更何を複雑な気持ちなんか感じているのだろうと思うけど……。
私らしくもなく、うじうじ考えることも最近増えてきているけど、今日明日はお世話になっている七央さんに日頃のお礼の気持ちも込めてお祝いをすることに尽力するのみ!
私が盛大に祝って喜ぶのかは謎だけど、少しでも喜んでもらえたら嬉しい。
あとは、いつものスーパーで買い物をして帰れば、成海先生が迎えにくるという約束の時間にちょうどいいくらいだと思われる。
買い忘れをしないように頭の中であれこれ材料を繰り返しながら、足早にバギーを押していった。