契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
着替えを済ませ支度を終えると、目を落とした腕時計の時刻は午後四時を間近にしたところだった。
佑華には、もう一週間近く会っていない。
パリにフライトする前は彼女のほうが夜勤のサイクルで、俺が帰宅する頃の時間にはもう出勤した後というのが何日か続いた。
助産師の彼女とは、そんな風に互いの勤務の状況では顔を合わせない日が続くこともあると生活を共にしてわかった。
駐車場へ向かい、車へと乗り込む。
もうすっかり走り慣れた自宅マンションまでの道を車で走りながら、不意にこの間の佑華のことが脳裏に蘇った。
『せっかくだから、誕生日のお祝いしましょうよ!』
何気なく出た運転免許証の更新の話題で、誕生日がいつなのかと訊かれた。
八月八日が誕生日だから覚えやすいと昔から言われるなんて話すと、『もうすぐ誕生日じゃないですか!』と佑華はパッと表情を輝かせた。
そして即自分の予定を確認し、ちょうど仕事が休みだと声を弾ませた。
正直、彼女が俺の誕生日を祝いたいなどと言ってくるなんて思いもしなかった。