契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
ほとんど頼み込むような形で結んだ、契約結婚という特殊な関係。
彼女にとって俺は、自分の都合で契約結婚なんて関係を迫った、強引で変わった男といったところだろう。
現に、共同生活を始めてからも、彼女はなかなか心を許してはくれなかった。
一緒の時間を過ごす中で、少しずつでも肩の力を抜いてもらえればいい。
やっぱり契約結婚なんて解消してほしい──そう言われないように、日々努めてきた。
その甲斐あってか、常に緊張していた様子は少しずつ緩和され、最近は自然な表情を見せてくれるようになっている。
大好きなスイーツの話題には、本当に目を輝かせて楽しそうに話し、自分の仕事の話をしてくれる時には、普段は見せない凛々しい顔つきで真剣に話す。
案外初心な一面もあって、〝夫婦だから〟と接近した時には動揺して赤面する可愛らしい姿も見せてくれた。
契約結婚の相手は、自分の求める条件に当てはまる相手が見つかれば誰でも構わないと思っていた。
だけど、今改めて考えると、それで良かったのかと疑問は深まる。
それは、今の生活が日増しに大切なものと感じるようになっているから。
佑華が相手だったから、そんな風に思えるのではないかと感じている。
佑華と過ごす時間が、自分にとっていつの間にか癒しで、潤いで──。
他の誰かだったら、今のこんな気持ちは芽生えたのだろうか……?