契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
浮き沈みする気持ち



 どこまでも澄んだ青い空に、ギラギラと容赦なく照り付ける強い太陽。

 お盆も始まりハイシーズンとなった羽田空港は、多くの人で賑わいをみせていた。

 展望デッキから見える滑走路では、ジェット機が忙しく離発着を繰り返している。

 夏休み中ということもあってか、飛行機に喜ぶ子どもたちが展望デッキには多く見受けられた。


『父親が今月機長を引退する。ダブルキャプテンでラストフライトをするから、見にこないか?』


 お盆休みの話題になった時、七央さんが突然そんな話を切り出した。

 今月下旬に六十九歳の誕生日を迎えるというお父様が、このお盆で機長を引退するという。航空法で旅客機の機長として定年を迎えるのが六十八歳だそうだ。

 そのラストフライトを、息子である七央さんと業界では珍しいふたりの機長で組んでフライトするらしく、休みが合うなら見に来ればいいと誘われたのだ。

 それは休みじゃなくても休暇を取って見に行くべき日。

『行きます!』と即答だった。

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