契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


「私も繁明パパを待とうと思ってるんだけど、お茶でもして待ってない?」


 美鈴さんからの思わぬ誘いに面食らったものの、断る理由は何ひとつなく「そうですね」と答えていた。

 今日はこのお父様とのフライトで乗務終了だという七央さんと、空港内で待ち合わせすることになっていた。

 どこかでひとりお茶でもしてようと思ってたけど、まさか美鈴さんにバッタリ会って、一緒に待つことになるとは思いもしなかった。

 熱中症も怖いため、ターミナル内のカフェにふたりで入る。


「佑華さんと会って、ここにいること伝えておいたから」


 ドリンクを買い求める間に、スマートフォンを手にしていた美鈴さんはどうやら七央さんに連絡を入れていたようだ。

 冷たいキャラメルラテの入ったカップを手に、奥の空いている席へと向かう。

 美鈴さんはアイスコーヒーを買い求めていた。


「この間、もっと話したかったなって思ったから、今日会えて嬉しい。七央がさっさと連れ帰っちゃうんだもん」


 アイスコーヒーにストローをさし、美鈴さんはカップを私に突き出す。

 そして「だから、再会に乾杯」とにっこり笑った。

 あの時も目に留まったえくぼに視線を奪われる。

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