契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


「佑華さん、助産師さんなんだ! えー、すごい。じゃあ、赤ちゃん取り上げてるんだ!」


 美鈴さんは「あ、ごめん。それで?」と話の続きを促す。


「その時の機長がちょうど七央さんで、それで、ご挨拶をして、それがきっかけで」


 咄嗟に頭を働かせ、そんな出会いのきっかけを話す。そこは嘘ではないから、ありのままを話せば問題ない。


「やだ、七央の職権濫用ね」

「えっ、あ、いや、そんなことは……」

「確かにかっこいいもんねぇ、パイロットの制服姿って」


 どこかしみじみとした調子で言う美鈴さんに、なぜだかどきっとしてしまう。

 それは、七央さんだから特別かっこいいという意味だろうか……?


「なるほどねー。それはなんかインパクトのある出会いだ。そっかそっかぁ」

「あの、美鈴さんは、カメラマンをされてるって、七央さんからききました」


 結婚についてこれ以上突っ込まれるとボロが出そうな気がして、話題を美鈴さん側に振ってみる。

 美鈴さんは「うん、そうなの」とまた可愛い笑顔を見せた。


「つい最近までは韓国。その前はフランスのパリでしょ。更にその前はハワイにいたんだ。結構飛び回ってる」


 世界中を飛び回るなんて、美鈴さんがパワフルだからできる仕事なのか。それとも、そういう生活を送っていてパワフルになったのか。

 どちらにしても私には真似できない。本当にすごいと感心する。

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