契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


「お疲れ様。あれ、繁明パパは?」

「最後だからいろいろ捕まってる。写真撮ったりとか」

「ああ、そっか、そうだよね。みんな記念撮影とかしたいよね」


 やって来たふたりのために置いていたかごバッグを持ち席を空けると、お母様が私のそばへと近づく。


「佑華さん、今日はわざわざありがとうね」

「いえ! こちらこそ、大切な日にお邪魔してしまい」

「お邪魔なんて、佑華さんはもう娘なんだから」


 お母様と会うのは今日で二回目。

 まだまだ緊張で顔が強張る。


「聖子ママ、何にする? 買ってくるよ」

「あら、じゃあお願いするわ。アイスコーヒーにする」


 お母様からメニューを聞いた美鈴さんは、「七央は?」と訊く。


「アイスティーでいい?」

「ああ」

「オッケー」


 昔馴染みで家族ぐるみの付き合いをしてきたといえ、ふたりのやり取りを見ているとまるで夫婦のよう。

 私なんかより美鈴さんのほうがよっぽど奥さんに見える。

 そんなことを思うと、急に気分がずんと落ちてくる。

 だけどそんなことではダメだと自分を鼓舞し、いい妻を演じようと笑顔を作る。

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