契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


「お待たせ。アイスコーヒーと、アイスティー」


 ふたりの前にドリンクが置かれると、七央さんのアイスティーにだけガムシロップがないことに気付く。


「七央さん、これ。私の甘味ついてて使わなかったので」


 そう言って余っていた自分の分のガムシロップを差し出すと、横から「え」と美鈴さんの声がした。


「七央、甘くしないよね? と思って持ってこなかったんだけど」


 美鈴さんは七央さんが甘くしないと知った上で、ガムシロップを持ってこなかったのだと知る。

 そんな些細なことでもやっぱり美鈴さんのほうが七央さんのことを知っているのだと突き付けられて、ガムシロップを差し出した手を慌てて引っ込めかけた。


「ありがとう」


 でも、その手に七央さんの手が触れる。

 手の中に握ったガムシロップをもぎ取るようにして私から受け取ると、自分のアイスティーにそれを投入した。

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