契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
飛びつくようにして電話対応にあたる佳純に近づく。
ジェスチャーで電話を代わってもらうよう伝えると、「少々お待ちください」と受話器を耳から話した。
「どした?」
「あ、うん。私が代わる」
「え? そうなの?」
なんだか事情がわかっていない佳純に抱いている赤ん坊を託し、電話口に代わって出る。
「お電話変わりました」
『……あれ? 佑華さん!?』
やはり、電話を代わると通話の相手は間違いなく美鈴さんで、私の声を聞くといつもの明るい声が電話の向こうから聞こえてくる。
佳純が離れていったのを目視で確認し、口元を覆って「どうしたんですか?」と訊いた。
『いきなりごめんね。佑華さんの連絡先聞きそびれちゃったから、職場に連絡入れちゃったんだけど、迷惑かけちゃったよね』
「いえ、それは全然大丈夫です」
『今ね、用があって佑華さんの職場の近くまで来てるんだ。お昼休みとかこれから? ランチでもできたらと思って』
ちょうどこれからお昼休みに入るところというナイスタイミング。
すぐにかけ直すと美鈴さんの電話番号を聞き、ナースステーションからの通話を終わらせた。