契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


「私、思ったことは隠さないではっきり伝えないと気が済まないタイプでね。だから、佑華さんにもちゃんと話そうと思って」


 食べ終えたパンのごみを片付け終わると、美鈴さんは姿勢を正し、となりに掛ける私へと体を向ける。

 何やら改まった話が始まる雰囲気を察して、メロンパンを食べる手を止めた。


「私ね、ずっと七央のことが好きだったの」


 はっきりきっぱりと、包み隠さずストレートに告げられて、思わず面食らってしまう。


「ううん……だった、じゃないな。今も好き」


 七央さんへの想いを口にした美鈴さんは、目が合った私にいつも通りえくぼを作ってにこりと笑った。

 七央さんの実家で初めて会った時から、頭のどこかで美鈴さんの気持ちには勘付いていた。

 だけど、その想いの大半は過去のものになっているのだろうと勝手に思っていた。

 だって、七央さんは私と結婚してしまったから。

 だけど、今でも七央さんのことを……?


「こんなこと、七央と結婚した佑華さんに言うことじゃないって思うんだけど、隠して佑華さんとこうやって話したりするのも、なんか自分的に気持ち悪くてさ。ごめんね」


 きっと、これまで自分に正直に生きてきたのだろう。

 私に対しても、自分の気持ちを隠して接することが罪に感じたのかもしれない。

 美鈴さんからは、私を困らせてやろうだとか、そういった類の悪の感情は全く感じ取れない。

 ただ純粋に、七央さんが好きというだけ。きっと、それだけなのだ。

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