契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


『私ね、ずっと七央のことが好きだったの』


 美鈴さんの告白が耳の奥ではっきりと再生される。

 どこかで勘付いていたはずなのに、面と向かって言われる威力といったら凄まじかった。

 それはきっと、七央さんとずっと昔から一緒にいた美鈴さんだからなのだろう。

 美鈴さんの気持ちを聞いて、気付けばこれまで隠してきた自分のことを迷わずに話していた。

 七央さんとは、契約結婚という関係であること。

 美鈴さんには隠したままではいけないと、気持ちが突き動かされた。


「帰ってたのか」


 窓に手をつき、広がる夜景にじっと見入っていた時。

 後方から七央さんの声がして、飛び上がるように肩を揺らして振り返った。

 いつの間に帰宅したのか、ぼんやりしていたら全く気配を感じ取れなかった。


「おかえりなさい」

「どうした、電気もつけないで」


 暗闇の中にいた私に、七央さんのほうも驚いたようだ。

 照明を入れ、こっちに近づいてくる。

 ごくりと、自分の喉が鳴る音をダイレクトに聞いた。


「この光の下には、たくさん人がいて、夫婦も多くいて……私たちのような、契約結婚という関係の人も、中にはいるんでしょうか?」


 横に立った七央さんからは、何も返事は返ってこない。

 顔を上げて目にした七央さんは、ずっと遠くの夜景を見据えていた。

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