契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
「今日……職場に美鈴さんが来ました」
そう告げるとさすがに驚いたのか、七央さんは私に目を向ける。
「美鈴が?」
「はい。一緒に、うちの売店の焼き立てパン食べました」
今日のなんてことない出来事を報告するような口調で言ってみても、七央さんの表情はなぜだか硬い。
まるで、今から私が真面目な話をしようとしていることを、すでに察知しているかのように。
言ってしまうの?
言ったら、もうこの関係は終わるかもしれないのに?
そう、心の中の自分が、口を開きかけた私に問いかけていた。
「私たちの契約結婚……そろそろ終わりにしませんか?」
切り出すと、思っていた以上に胸が締め付けられ、呼吸までもが圧迫される。
その場の空気までもがピンと張り詰めたような、そんな緊張感に包まれた。