契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
一方的に終わりを口にして立ち去った佑華は、その晩はひとり早い時間から寝室で眠りについていた。
はじめの頃のようにベッドの端で小さくなって眠っていて、翌日は早朝から家を出て姿は見えなかった。
どこにいるのか連絡を入れると、妹のところにいるから心配しないでほしいと簡単な返信が返ってきた。
それから一週間、俺も国際線のフライトがあったり、佑華も夜勤のサイクルに入ったり、まともに顔を合わせられずにいる。
はじめは関係を維持していくために気を張っていた契約結婚という形も、お互い少しずつ気を許して生活できていると思っていた。
俺自身、最近は早く家に帰りたいと思うようになった。
それは、間違いなく佑華に会いたいという気持ちがあるから。
いつの間にか佑華がいる毎日が楽しくて、癒しで、かけがえのないものになっていることに、こんな風になってからようやく気が付いた。
「七央、こっちこっち!」
指定された展望デッキの野外カフェに向かうと、夕日の降り注ぐ滑走路を一番近くで見られる席を陣取り美鈴がひとり待っていた。