契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
「契約でもなんでもいいし、籍入れることが全てじゃないよ。だけど、気持ちだってちゃんと伝えてないんでしょ?」
気持ち……?
質問の意図がわからず「なんのことだ」と返すと、美鈴は目を見開きあからさまに驚いたような顔を作った。
「もしかして、気付いてないの? 自分の気持ち。佑華さんが好きだってこと。七央、佑華さんに恋してるんでしょ」
くすぐったいフレーズを連発されて今度は口ごもった俺を、美鈴は全て見透かしたようにクスッと笑う。
そして「見てたらわかるよ。佑華さん見てる顔がもう違うもん」などと言う。
なんとも居心地が悪く誤魔化すように滑走路に視線を向けると、加速を始めたジェット機が機首を上げ、車輪が滑走路を離れていく離陸の瞬間が目に入った。
「とにかく、後悔だけはしないようにね。勇気一秒、後悔一生って言うでしょ」
氷の溶けた残りわずかな中身を吸い上げ飲み終えると、「よし」と勢いよく席を立ち上がる。