契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
幸せが動き出すとき
後悔するなんて言葉の意味を、たいして知りもしない人生を送ってきていた。
七央さんと距離が空いてしまってから、それを酷く痛感し、何か大切な体の一部分を無くしてしまったような、そんな状態が続いている。
美鈴さんのストレートな告白を受けて、その想いは七央さんに伝えてほしいと素直に思った。
『今まで誰も……俺を本気で想ってくれた人間はいなかった』
初めてそばで眠ることにあったあの夜、七央さんが言ったその言葉が私は忘れられないでいたからだ。
美鈴さんの深い想いに触れ、それは七央さんが求めていたものだと思ったから。
そばでいつも七央さんを見続けてきた美鈴さんの、本気の想い。
私と交わした契約結婚なんかが邪魔してはいけないと思った。
でも、そんな想いとは裏腹に、一度出た涙は止まることを知らなかった。
つぎつぎと作られ、ぼろぼろと流れ落ちる。
なんでこんなに泣いているのかと考えた時、七央さんに想いを募らせている自分の存在をやっと認められた。