契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
いつ始まった想いなのか明確にはわからない。
そばにいるうちに、一緒の時間を共有するうちに、彼のことをもっと知りたいと思っていたし、もっとそばにいられる存在になりたいと思うようになっていた。
契約結婚という約束の元に始まった関係だけど、いつの間にか気持ちが深く入っていたのだ。
だけど、自分の想いに気付いた時にはすでに手遅れで……。
美鈴さんの背中を押したことに後悔はもちろんない。
でも、同時に自分の想いは死んだも同然だと思うと、やりきれなかった。
あの日から、私は未だに契約解除していない元の独り暮らしのマンションで過ごしていた。
妹のところにしばらく行くと知らせると、七央さんからは【わかった】と短い返事が届いただけだった。
逃げたって仕方ないのに、七央さんの顔を見ることがどうしてもできなくて、そうするしか手段がなかった。
悶々としながらなんとか日常をこなし、ふたりのマンションを出てから一週間が経った昨日、七央さんから連絡が入ってきた。
【会って伝えたいことがある。時間を作ってもらえないか?】
文面を見て、鼓動は早鐘を打った。
いよいよ契約終了の話し合いを持つ日が来てしまった。
美鈴さんとは、あの後上手くいったのだろうか……?
しなくていい心配までしながら、【わかりました】と日時と場所の約束を交わした。