契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
周りが恋愛に夢中になる高校時代、母に癌が見つかった。子宮がんだった。
進行が早く、リンパに転移し、治療の甲斐なく私が高三の冬に帰らぬ人となった。
放課後は入院した母のお見舞いに通い、帰れば仕事に出ている父と妹のために家事をこなす日々。加えて、看護学校に進学するための勉強をしていたから、恋愛に浮かれるような青春時代は私には無縁だったのだ。
看護学生になっても、母親を亡くした私の忙しさは変わらなかった。
徐々に妹が家事を手伝えるようになり、分担してくれるようになってから、少しずつ自分の時間もでき始めた。
しかし、その頃から看護学校では実習に明け暮れる日々が始まり、国家試験に向けての勉強も忙しくなっていった。
その後、助産師になるための専門学校に進学。二年間更に勉強に明け暮れ、晴れて助産師として社会に出た。
就職して仕事にも慣れた頃、周囲に「彼氏でも作ってみたら?」と勧められ、紹介された人と何度か付き合ったこともあった。
だけど、不規則な自分の仕事柄、すれ違うことが多く長くは続かなかった。
でも今思えば、振られてしまったのは仕事のせいだけではきっとない。
私自身が恋愛をすることに向いていないのだろうという結論に至った。