契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


「沖縄、どうだった? 楽しかった?」

「うん、良かったよー。やっぱ年一で行きたいね沖縄は」


 そう答えながら、ふと帰りの飛行機での一件を思い出す。でも、そのことを今このタイミングで話題に出す気にもなれず、そのままそっと胸にしまう。


「そっか、いいなぁ。私もまた行きたいな」


 開放的な明るいリビングに通してもらうと、杏莉が私の手を引きソファーへと連れていく。

 L字に設置されたゆったりとしたソファーには、杏莉が遊んでいたのか、うさぎやくまのぬいぐるみが置かれていた。


「あ、そうだお姉ちゃん、明後日の土曜日って日勤? 夜勤?」

「土曜? 日勤だけど……」

「あ、じゃあさ、もし予定なかったら仕事終わったらうちこない? 明日、新しいオーブンが届くんだけどね、パン焼いたりいろいろ作ろうと思ってて。晴斗さんがお姉ちゃんも呼んだらどうかって言ってくれて」

「へぇ、そうなんだ。土曜日、うん、大丈──」


 と、返事をしかけて〝あっ〟と思い出す。

 そうだ、その日は……。


「あ、ごめん。その日は、ちょっと先約があって……」

「え、あ、そうなんだ。それなら仕方ないよ。急に誘っちゃったしね。また今度、前もってお姉ちゃんの予定がないときに誘うし」

「うん、ごめん……」

「……? え、もしかして、その約束って男の人?」

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