契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
「え? 違うよ、なんで」
と答えつつ、どこか動揺が出てしまったような反応になる。
合コンという席だから、半分合っているような、合っていないような……。
いや、違う違う。私はスイーツと約束しているんだから。
「あれ、私の勘違い? なんか反応が微妙だったからさ。いつもそんな言い方しないし」
さすが妹……。私の微妙な反応を敏感に感じ取ったらしい。
「いや、なんというか……男の人ってわけじゃないんだけど、その日、職場の同期に合コンの席に付き合わされることになってて。あ、勘違いしないでね、人数合わせだから」
先手を打って〝人数合わせの付き合い〟を強調する。
でも、佑杏はなぜだか口角を吊り上げる。
「へぇ、珍しい。付き合いでも合コンとかは断る主義のお姉ちゃんがそういう席に行くなんて」
「だから、違うんだよ。はじめはもちろん断ったんだけどね、アルコバレーノっていう予約のぜっんぜん取れないレストランで食事会らしくってね。で、そこのスイーツがどうしても食べたくて、そのために参加了承したって感じで」
「うそ、本気でスイーツ目当てとか……」
「当たり前じゃん。じゃなかったら行くわけないでしょ、この私が」
佑杏はキッチンに入りながら「なーんだ」と、つまらなそうな声を返してくる。
私の掛けたとなりに杏莉がちょこんと座り、くまのぬいぐるみを渡してきた。