契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


「なんだって何よ、なんだって」

「えー? いや、お姉ちゃんは浮かれた話ないのかなーって。妹的にはこれでも気にしてるんだよ」


 佑杏は「紅茶でいい?」とお茶の支度を始める。


「浮かれた話って……別に欲してないからいいんだよ」

「え、もしかして、一生結婚する気ないとか?」


 いきなり核心に迫った質問をされ、つい口ごもる。


「それは……」


 一生……そう言われると、正直わからない。

 今は良くても、数年後は気持ちが変わっているかもしれない。

 何かのきっかけで猛烈に結婚したくなり、人が変わったように婚活を始めてみたりするかもしれない。

 でも、今はその気がない。


「私が杏莉妊娠して、お姉ちゃんのところに転がり込んだ時……お姉ちゃん、一緒に住んで一緒に育てようって言ってくれたじゃん。あの時、すごく心強かったし嬉しかったんだ。だけど……お姉ちゃんは?って思った」

「え……?」

「いい人いないのかなって」


 白いティーポットとカップをのせたトレーを手に、佑杏がソファにやってくる。

 そこに杏莉のマグも載っているのを見て、そばのベビーチェアに杏莉を抱き上げ座らせた。

< 30 / 246 >

この作品をシェア

pagetop