契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
「私と一緒にいたら、お姉ちゃん……いい人がいても、きっと私が邪魔しちゃうだろうなって考えたりもした」
「やだ、あんな大変な時にそんなこと考えてたの?」
「それは、やっぱり考えるよ……」
自分の体の心配だけをしなくてはいけない時期に、私のことなんかを気に掛けさせてしまったことを今更知る。
佑杏が相手のことを真っ先に考えてしまう優しいところは昔からだ。
「お馬鹿だね、心配ご無用だから。今はそういう相手もいないし、そういう気持ちもないし。仕事して、美味しいもの食べて、それで十分幸せだからいいんだよ。可愛い姪っ子もいるんだしね」
佑杏に手渡されたマグを両手で持ち、一生懸命に飲んでいる杏莉の姿に思わず笑みがこぼれる。
嘘でも見栄でもない。今、自分の人生に不足は何もない。
「そっか……あ、でもさ! その合コンで運命の出会いがあるかもしれないじゃん?」
「え、ないでしょ。合コン目的で行かない私なんて余計に」
そう言うと、佑杏は「わかってないな、お姉ちゃん」と、なにやら知っている口調で笑みを深めた。