契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
「いいじゃんいいじゃん、似合うんだから勿体ないよ。佑華はもっと女子の部分を押し出すべきだよ」
「押し出すって……。人のことばっかり言うけど、私は佳純みたいな雰囲気いいなぁって思うけどな。私が真似したら絶対に似合わないもん」
タイトなブラックのワンピースをさらりと着こなしてしまう大人女子な雰囲気は、佳純のクールビューティーさと、スタイルの良さだからこそ叶うもの。
私がやったら似合わなすぎて「どうしたの?」と言われてしまうやつだ。
しみじみそう言った私に、佳純は「みんな、無いものねだりなものか」と笑った。
そんな話をしながら表参道の脇道を入ったところに、目的のアルコバレーノを見つける。
ビルの一階テナントに店舗を構える店構えは、真っ白い外壁に黒い扉。
その扉のすぐ横に店名が黒字で控え目に書かれていて、文字が浮かび上がるように下からライトアップされている。
表参道を一本入った先にある、この落ち着いた雰囲気の店構え。気軽に来店できるような部類の店ではないなと思いながら、佳純がなぎさに連絡を入れるのを見守る。
「──うん、着いたけど、え、ここでいいんだよね? なんか入りづらいっていうか……」
なぎさは今日は休み。
今日の会を主催した看護学生時代の友達ふたりと、先にお店に入っている。
佳純と私を合わせて五人となり、先方も五人だから会は十人という人数だ。