契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
「あー、来た来た、お疲れー」
前で待っていると、なぎさがひとり店の入り口から出てくる。
今日はアイボリーの綺麗目ワンピースに身を包んだなぎさ。
髪も緩く巻いたのをハーフアップにして、合コンにふさわしいスタイルだ。
「ありがとね、来てくれて。ふたり待ちだったからこれで始められるよ」
入口のドアを開けて私たちを中へ招くなぎさに、佳純が「えっ」と声を上げる。
「男性陣も揃ってるの?」
「うん、私たちより先に来てたよ。大丈夫、ふたりは勤務後だから遅れるって伝えてあるから」
入口を入ると、黒服のスタッフが丁寧に「いらっしゃいませ」と来店を歓迎してくれる。
内装は白い石造りの壁と、ダークブラウンカラーで統一された落ち着いた店内。
シックで洗練された、隠れ家のような雰囲気だ。
入店し、いよいよその席に顔を出す寸前となって、緊張がじわじわと押し寄せてくる。
合コンに参加するという目的で来ているわけではないのに、今更何を緊張なんかしているのだろうか。
そうは思ってみても、全く知らない、しかも異性と、対面して食事をするという席に参加するのは無条件に緊張して当たり前だ。