契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


「さっきの看護師と助産師の質問じゃないですけど、機長と副操縦士って資格が違うんですか? 空港で制服着て歩いているのがパイロットの方ですよね?」


 なぎさが質問すると、なぎさの友達のひとりが「パイロットの制服かっこいい!」とテンション高めに声を上げる。

 空港を利用しても、今までパイロットの人に注目したことがなかった。

 空港内を普通に歩いているとも思わなかったから、この間フライト後の桐生さんがわざわざ挨拶に来てくれたことにも驚いたくらいだ。

 あの時初めて、パイロットの姿というものを目の前で見たけれど、なぎさの友達が口に出して言ってしまうのもわからなくない。

 その職業の人しか身に着けられない制服というのは特別感がある。


「そうそう、免許の種類が違うんだよ。副操縦士は事業用操縦士っていう資格で、うちの会社だとだいたい十年くらいで定期運送用操縦士っていう資格を取得して機長になるんだよね」


 なぎさの質問に森川さんが答える。

 女子たちの注目を浴びる森川さんは、「だから……」と含みを持たせる言い方で微笑を浮かべた。


「桐生さんは超エリート。桐生さんの歳で機長になるのは、うちの会社史上初だからね。いや……たぶん、業界史上最速かもしれない」

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