契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
この話でいけば、機長になるというのは年数を要するし、難しいのかもしれない。
最速……平均十年というところ、彼は何年で機長になったんだろう?
年齢は、私よりは上だよね……。
話を聞いた女性陣の「すごーい!」などという言葉と共に桐生さんに視線が集まるけれど、桐生さんのほうは特にノーリアクション。
「俺の話はいいから」と言ったきり、まるで正面の黄色い声が聞こえていないかのようにグラスを手にワインを味わっている。
この間空港で挨拶をされたときも、キラキラ輝いている人たちの中で更なる輝きを放っている人だと思った。
きっと、普段から綺麗な客室乗務員の女性たちにも囲まれているし、こんな風に持て囃されることには慣れっこなのだろう。
現に、今も存在感がずば抜けている。
ラフなのに計算されたようにセットされた綺麗な黒髪。
私のいる角度から見ると、鼻筋も通っていて横顔も美しいのがよくわかる。
って、私、見すぎ……。
「じゃあ、問題です。見た目で機長か副操縦士か見分けられるんだけど、それはどこでしょう」
森川さんがクイズを出すように女子たちに質問すると、なぎさが「あ、はい!」とすぐに挙手する。
「制服の、肩とか腕の金のラインの数が違うんじゃなかったでしたっけ?」
「おっ、すごい、正解。機長が四本線で、副操縦士が三本線のラインね。今度空港でパイロット見かけたら、見てみるといいよ」