契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


 食器を下げ、冷蔵庫からストックしているチューハイを取り出す。

 蓋を開けながらそそくさとソファーに戻り、改めてスマートフォンを手に取った。

 点灯させた画面には、やっぱり間違いなく届いている桐生さんからのメッセージの通知が残る。

 二十二分前と出ていて、もう開いても大丈夫だろうとトークアプリを起動させた。


【こんばんは。先日はありがとうございました。日を改めてとお願いした件ですが、日程はいかがでしょうか?候補を挙げていただければ、都合のつく日程を調整させていただきます】


 至って真面目な内容であるけれど、要は個人的に会うための日取りを伺われているものだった。

 どうやらこの間のことは間違いではなかったらしい。

 飲み口に口付けごくりと喉にお酒を流し込むと、甘いメロンの香りが口いっぱいに広がる。

 あの時も疑問だらけだったけど、今になってもそれは何ひとつ解消されていない。

 桐生さんの言葉をひとつひとつ反芻しながら、届いたメッセージを何度も読み返す。


 私に興味を持ったって、どういうことなんだろう?

 それに、改めてふたりで会って彼が私に相談したいことって……?


「んー……」


 やっぱり全く見当がつかなくて、考えが行き詰まる。

 でも、私の中で返信の文面は仕上がっていた。

 普段、親しい人に送るような絵文字などは無しで、文章を作っていく。

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