契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
【こんばんは。こちらこそ、ありがとうございました。その件ですが、個人的にお会いするのは少し難しいです。また、先日のような場でお会いできればと思います】
さすがに、いきなりふたりきりで会う勇気はない。
頭の中でそれが一番大きく、特に疑問もなく断る一択で文面を作っていた。
文章を読み返し、誤字脱字をチェックする。
「よし……」
しかし、送信しようと思って、ちょっと待てよと手が止まった。
断って話を終わらせるのは構わないけれど、一体なんだったんだろうかと物凄く気になりそう……。
あの日、食事会はあの場で解散となり、「次に行こう!」みたいなノリになる人もいないなんとも上品な会だった。
振り返れば、居酒屋などでの飲み会合コンとはまた雰囲気が違ったような気がする。
その帰り道、佳純やなぎさ、なぎさの友達は参加した男性陣の話で終始盛り上がっていた。
その話の中で断トツ話題にされていたのは、やっぱり桐生さんのことだった。
パイロットであり、あの容姿端麗さ。
確かに初めて会った時のことを思い返すと、制服姿の桐生さんは何かドラマからでも出てきたような、そんな非現実感があった。
なぎさの友達が、桐生さんは大学生の頃にモデルをやっていたこともあるらしいなんて情報を持っていたから、あながち私の感想は間違ってもいないと思われる。