契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
「それは申し訳なかった。そう思わせてしまったのは、俺が悪いからね。でも今日は、思ってたより話しやすかった?」
「はい! おかげで、無駄にいらないことまで喋ってしまった感じです」
桐生さんの口元に薄っすらと笑みが浮かぶ。
「そっか」と言い、手にしていたカップに口をつけ、それをソーサーに静かに戻した。
「それなら、今日会ってもらった本題に入っても問題ないかな」
「あ、そうでしたね。まだうかがってませんでした」
今のところただスイーツを食べに来た約束みたいになっているけれど、まだ会うことになった本来の目的は明かされていない。
そういえば、そのために会ったんだったと思いながら、こっちを見据える桐生さんを見つめ返した。
「俺と、結婚してもらえませんか。契約結婚という形で」
え……?
出てきた内容に頭がついていかず、ただ桐生さんの顔をじっと見つめ続けていた。