契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
side Nao
それまで見せてくれていた笑みが、その表情からふっと消える。
肩の力も抜けていい感じに話してくれていたのに、この話題を出した途端彼女の表情が固まったのを目撃した。
無理もない。
今日で会うのは三度目。
そんな相手からいきなり結婚なんてフレーズが出てきたら、普通の神経なら固まってしまうのが正常だ。
でも、俺自身こんな話を女性に切り出すのは初めてのこと。
予想はしていたけれど、こんなに空気が一変してしまうなんて思っていた以上だ。
周囲からの結婚への圧が強まってきたのは、ここ一年ほど前からのこと。
望まぬ見合いをさせられ、結婚を急かされる。
そんな生き急ぐようにして結婚しても誰も幸せになんかならないのに、身を固めるということが重要だと両親には言われてしまった。
「え……あの、それは、どういう……?」
やっと言葉を発した宇佐美さんは、せわしなく俺とテーブルの上とに視線を彷徨わせている。
何をどう訊いたらいいのかもわからないといった状態だろう。