契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
幼い頃から『女の子には優しく』と両親、特に父親に教育され、それが当たり前だと思ってきた。
父親自体が母親を目に余るくらい過保護に愛し、俺の下にふたりいる妹たちも同じように溺愛されていた。
女性には優しくすることが当たり前の環境で育った俺は、好きになった相手にはもちろんひたすら優しく接していた。
しかし、女というものは優しいだけの男には飽きるのだと思い知った。
少し振り回されたり、危ない香りのする男のほうが魅力的なのだろう。
俺から離れていった過去の女たちは、決まって俺に物足りなさを感じていた。
そんなことを繰り返すうち、女性との特別な関係を築くことにうんざりしてしまった。
優しくすればつまらない男と言われるなら、それもやめる。
近づいてきた女とは適当に関係し、真剣に付き合うこともなくなった。
こんな風になってしまった俺に、もう女性とのまともな付き合いをするなんて不可能なことで、恋愛結婚は望めない。
だからといって、幸せな結婚を求めてお見合いに臨んでいるような女性とも、一緒になる勇気もない。
ロクな恋愛経験もない男が、結婚という形になったからといったって、いきなり妻を幸せにできるとは到底思えないからだ。
見合いをしていざ結婚生活に入ってみたら、きっと俺は〝物足りない夫〟となるだろう。
妻となった相手に、他で自分以外の男との関係など持たれたら、それこそもう二度と立ち直れない。