契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


 再びタルトに取り掛かり始めた宇佐美さんから思わぬ質問が出された。

 この話を処理しきれず、彼女から何か質問をすることも難しくなってしまうことも想定したが、案外話は進めやすいのかもしれない。


「まぁ、表向きはそういうことになるのかな。そうしてもらうのが、俺が契約結婚を望んでいる一番の理由だから」


 実は大切な女性がいて、彼女と結婚することになった。

 そう周囲に宇佐美さんを紹介する。

 そうすれば、両親もうるさく結婚について口を出してくることはなくなるだろう。


「宇佐美さんは、結婚するということにしたほうが都合がいいということはありませんか? 例えば、俺のようにご両親に結婚を勧められていたりだとか。まだ仕事に専念したいと思っているのに、うるさく言われているとか」

「両親は、もう他界しています。なので、私はそのようなことは……」


 まさか両親共にもう亡くしているとは知らず、無神経なことを言ってしまったとハッとする。

 契約とはいえ、結婚を申し出るには彼女のことをまだ知らなすぎる。

< 79 / 246 >

この作品をシェア

pagetop