契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
「この話は、こちらからお願いしていることです。だから、宇佐美さんの納得のいく、むしろいい条件で契約できたらと思っています。俺は、結婚したという見える形が手に入ればそれでいいので」
「納得のいく、いい条件って……私は、そんなつもりでお断りすると言ったわけでは──」
「例えば、一緒に住むにあたり、やっていただいた住まいのことは全て仕事として報酬を出しましょう」
〝報酬〟というワードを出した途端、宇佐美さんは「えっ、そんな」と慌てる。
「あの、ということは……やっぱり、一緒に生活するということですよね」
「もちろん、そうなりますね。一応、夫婦となるので。だけど、深く考えなくていい。同居人くらいの感覚でいればいいと思います」
「同居人……」
「あとは、そうだな……毎回フライトした先で、何かスイーツを見つけてきます」
彼女が無類のスイーツ好きと知った上でそんなことを言ってみると、くっきりとした二重の瞳が一瞬大きくなるのを目撃する。
こんな話をされて困っているはずなのに、そこにはちゃっかり反応しちゃうんだなと思うと可愛くてつい笑いが込み上げてしまった。