契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
「で? やっぱりその人といい感じになったとか?」
カップを置いて代わりにフルーツタルトのお皿を手に取った佑杏は、「いただきまーす」と、上に載る葡萄にフォークを刺した。
大きな葡萄を大口を開けて一口で食べる。
「いい感じにはなってないかな。ただ、契約結婚をしてほしいって交渉されてる」
「っ……!?」
慌てて口元を抑えた佑杏は、喉でも詰まらせたように顔を赤くしてむせりだす。
「え、ちょっと、大丈夫? ちゃんと噛んで食べなよ」
そう言うと、口を抑えたまま抗議の眼差しを私に向けた。
「おっ、お姉ちゃんがすっごいこといきなり言うからじゃん! 何、契約結婚て!?」
そのフレーズを出せば少なからず驚かれることはわかっていたものの、いざ切り出すと自分の心臓がドキドキ高鳴っていることに気付く。
タルトの載る皿を置き「わかるように一から説明して」と言う佑杏に、ゆっくりと事の顛末を語っていった。