死神のお気に入り
神の名の下において人々は皆平等である、聖書にはこんな言葉があるらしい。でも私、黒鳥美帆(くろとりみほ)から見ればそんなものはただの戯言だ。
本当に平等なら、飢えや貧しさで困る人はいない。戦争や病気で苦しむ人もいない。誰もが愛されて幸せになれるはず。そう、私だって……。
「……行ってきます」
両親と大学生の弟と暮らす家。私が出勤前に声をかけても、誰も「行ってらっしゃい」とは言ってくれない。何のために一緒に暮らしているんだろう。
幼い頃からずっとこうだ。両親は弟の方が大事で、私のことは見てくれない。弟を常に優先するため、私は高校を卒業してからは働いて家にお金を入れろと言われた。だからブラックと世間から言われる会社で働いている。両親、弟はそんな会社で働いていることを何とも思っていないけど。
「おはようございます」
元気がいい、とはお世辞にも言えない声のトーンで挨拶をする。こんな会社で無駄に元気よく仕事をする気にもなれない。
本当に平等なら、飢えや貧しさで困る人はいない。戦争や病気で苦しむ人もいない。誰もが愛されて幸せになれるはず。そう、私だって……。
「……行ってきます」
両親と大学生の弟と暮らす家。私が出勤前に声をかけても、誰も「行ってらっしゃい」とは言ってくれない。何のために一緒に暮らしているんだろう。
幼い頃からずっとこうだ。両親は弟の方が大事で、私のことは見てくれない。弟を常に優先するため、私は高校を卒業してからは働いて家にお金を入れろと言われた。だからブラックと世間から言われる会社で働いている。両親、弟はそんな会社で働いていることを何とも思っていないけど。
「おはようございます」
元気がいい、とはお世辞にも言えない声のトーンで挨拶をする。こんな会社で無駄に元気よく仕事をする気にもなれない。
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