死神のお気に入り
ヒュッ、と風を切る音がする。これで私の人生も終わるんだと思ったが、グシャリという音は私の後ろから聞こえてきた。

「えっ……」

アルトさんが私を解放したため、私は後ろを振り返る。そして言葉を失った。

先輩たちが血だらけになって死んでいる。何で?どうして?私が魂を差し出すはずだったのに……。

混乱する私の顎が持ち上げられる。アルトさんと強制的に目を合わせられた。アルトさんのルビーのような髪と同じ赤の瞳は、満天の星空のように煌めいている。

「君は殺さない。君のように自分の命を簡単に差し出せるような心の持ち主はもう二度と会えないと思うから」

「……私は、先輩方を助けたくて言ったわけじゃありませんよ。ただ、この人生か、解放されたくて言ったんです」

私がそう言うと、アルトさんは「なら、僕が君の残りの人生をもらう。僕と永遠に一緒に生きていたいと思えるようにしてあげるよ」と笑った。これはきっと、告白を通り越してプロポーズだと思う。
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