やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない
「しかしだ、いきなり良く知りもしない店を接待に利用するなんて無責任なことはしたくない」
「はぁ」

 少なくとも怒られる訳ではないのはわかった。

 けど何、この展開。

 私、ついていけないんですけど。

 思わず目をぱちぱちさせてしまう。

 頭の上に大量の疑問符が浮かんでいても不思議ではなかった。

 三浦部長がごくんと唾を飲み、告げる。

「ということで君も付き合ってくれ」
「え?」

 自分でも間抜けな声だったと思う。

 私はすぐに言い直した。

「ど、どうしてそうなるんですか。接待の下見くらい一人でやってください」
「いや、そこお一人様お断りの店だし」
「……」

 何それ。

 そのお店、独身者にケンカでも売ってるの?
 
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