やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない
「腹さえ満たせばそれでいいと思っているならそれは大間違いだぞ。食事はきちんと栄養のバランスをとって食べないと駄目だ。だいいちコンビニ弁当はカロリーが高い。そればっかり食べていると太るぞ」

 うん、と一つうなずくと三浦部長は付け足した。

「まあ、僕は少しくらい君が太っても気にしないがね」
「……」

 どうしよう。

 こいつ、殴っていいかな?

 私は頬を引きつらせながらぎゅうっと手の甲をつねる力を強める。これアザになったら部長のせいだ。

「多少太っても可愛さは変わらないだろうし」

 ぼそりと漏らした声は小さすぎて私には聞き取れない。

 でもきっと悪口に決まってる。

 本当に最低な上司。
 
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