破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
第一幕
🥔腹ペコ時間のほくほくコロッケ
「マンゴーが先だ!」
「宿だよ、宿!」
快晴の空の下、ホロ馬車の手綱を手にしながら目を三角にした騎士エヴァンに、早く身綺麗にしたいと頬を膨らませたノアが対抗する。
学者の街と謳われるエスディオ到着を目前に揉めるのは、最初に行くべき場所についてだ。
「アーシェも宿だと思うでしょ?」
後ろの席に座るアーシェリアスを振り返ったノアは、人形のように可愛らしい顔を煌めかせて同意を求める。
「早くお風呂入りたいよね?」
「うーん、そうだなぁ……」
黒く長い髪を風に靡かせ、アーシェリアスは顎に手を当てた。
確かに風呂も魅力的だ。
前の宿場町から二日入れていないし、そろそろさっぱりしたい。
「男なら少しくらい我慢しろ。とにかくマンゴー優先だ」
譲らぬエヴァンの物言いに、ノアは血色の良いぷるんとした唇を尖らせる。
「ボクは綺麗好きな男の子なの!」
もうっ、と怒る姿はどこからどうみても女の子にしか見えない。
ミルクをたっぷり流したような紅茶色の髪は腰まで長く、身に纏うのは、リボンやレースをあしらったワンピース。
先の宿場町でも、女性と間違われてナンパされていたノアを思い出し、アーシェリアスはアイドルのように整った横顔を眺めた。
(ほんっとに可愛いのよね。だけど、確かに男の子だった……)
温泉地カリドの脱衣所で見たノアの胸板が脳裏を過り、ぶんぶんと首を横に振る。
あの日の事を思い出すのはいまだ恥ずかしい。
アクシデントのようなものだったとはいえ、旅の仲間同士で肌を見せ合う結果となってしまったのだ。
しかも、そのうちのひとりは想い人。
アーシェリアスは、横に座るその想い人をチラリと盗み見る。
「宿だよ、宿!」
快晴の空の下、ホロ馬車の手綱を手にしながら目を三角にした騎士エヴァンに、早く身綺麗にしたいと頬を膨らませたノアが対抗する。
学者の街と謳われるエスディオ到着を目前に揉めるのは、最初に行くべき場所についてだ。
「アーシェも宿だと思うでしょ?」
後ろの席に座るアーシェリアスを振り返ったノアは、人形のように可愛らしい顔を煌めかせて同意を求める。
「早くお風呂入りたいよね?」
「うーん、そうだなぁ……」
黒く長い髪を風に靡かせ、アーシェリアスは顎に手を当てた。
確かに風呂も魅力的だ。
前の宿場町から二日入れていないし、そろそろさっぱりしたい。
「男なら少しくらい我慢しろ。とにかくマンゴー優先だ」
譲らぬエヴァンの物言いに、ノアは血色の良いぷるんとした唇を尖らせる。
「ボクは綺麗好きな男の子なの!」
もうっ、と怒る姿はどこからどうみても女の子にしか見えない。
ミルクをたっぷり流したような紅茶色の髪は腰まで長く、身に纏うのは、リボンやレースをあしらったワンピース。
先の宿場町でも、女性と間違われてナンパされていたノアを思い出し、アーシェリアスはアイドルのように整った横顔を眺めた。
(ほんっとに可愛いのよね。だけど、確かに男の子だった……)
温泉地カリドの脱衣所で見たノアの胸板が脳裏を過り、ぶんぶんと首を横に振る。
あの日の事を思い出すのはいまだ恥ずかしい。
アクシデントのようなものだったとはいえ、旅の仲間同士で肌を見せ合う結果となってしまったのだ。
しかも、そのうちのひとりは想い人。
アーシェリアスは、横に座るその想い人をチラリと盗み見る。
< 1 / 232 >