破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
「どうぞ、冷えているうちに食べてみて」

 勧められ、一同が真っ白な大福にナイフを入れた。

 半分に分断され、現れたのは四つの層だ。

 まずは外側のやわらかな求肥部分。

 その内側には、雪のように白いホイップクリーム。

 そのホイップクリームに包まれる餡子と、中央で存在感を放つ苺。

 素朴だが可愛らしい見た目に、まず最初に感動の声を上げたのはノアだ。

「白に包まれた赤い苺って最高に可愛い~。さすがアーシェ!」

「ありがとうノア。あ、包むのはクロードが手伝ってくれたの」

「久しぶりにお嬢様とキッチンに並べて嬉しかったです」

 微笑むクロードがお辞儀をし、空いた食器を下げて片づける。

 そうして、それぞれが食べたい部分をさらに切り取って口に運んだ。

 オスカーは目を細め、堪能しながらうんうんと何度も頷く。

「苺と餡子はこんなにも合うんだな」

 初めての組み合わせに感動する父を見て、アーシェリアスが「そうなの!」と両手を軽く合わせて叩いた。

 そんなアーシェリアスの隣でレオナルドも舌鼓を打っていた。

「苺の程よい酸味と餡の甘さが絶妙だ。とても美味しいよ」

 春後半が本当の旬とされる苺は、今の時期、甘さと香りがしっかりと出ている。

 それを知っているクロードが、デザートに使おうと今朝市場から仕入れて保冷庫に保存していたのをアーシェリアスが発見し、使わせてもらう流れになったのだ。
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