破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
 ポスンとベッドに寝そべって見上げた天井がなんだか懐かしい。

(ああ……そうだった。私、毎日ここで寝ていたのよね)

 以前は当たり前だった日常の景色が、今はどこか新鮮な気さえする。

「どうですか? 久しぶりに過ごすお嬢様のお部屋の居心地は」

 明るい声で尋ねるのは、アーシェリアスが幼い頃から姉のように慕う侍女、ライラだ。

「旅に出てまだひと月なのに、もう懐かしい気持ちになってるわ。でも、すごく落ち着く」

「それは良かったです! ホットミルク、こちらに置いておきますね」

 ライラは微笑むと、カップの乗った花柄のトレーをベッドサイドテーブルに置いた。

 寝る前に飲むと熟睡できるといわれているホットミルク。

 亡くなった母親から『直前よりも三十分以上前に飲むのが効果的なのよ』と言われて育ったアーシェリアスは、毎晩ホットミルクを飲んでいた。

 旅に出てからは目まぐるしい毎日の中で体力を使うことが多く、ホットミルクがなくてもあっという間に眠ることができていた。

「ありがとう、ライラ」

 さっそくカップを手にして、ふうふうと息を吹きかけて冷ます。
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