破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
(どこの地方の料理か、とか珍しがっての質問ならわかる。でも、どこで知ったか、なんて……まるで、陛下に心当たりがあるような……)
──あるのかもしれない。
だから、リンカ・イディアルの料理本を秘密裏に入手していたのでは。
アーシェリアスは、質問に答えもせずこちらから質問するのは恐れ多いと思いつつ、ジャガ……女王に尋ねる。
「もしかして、陛下はご存知だったんですか? 私の作った料理を」
尋ねられた女王は、そっと瞼を閉じた。
「……ええ。よく似た味付けの料理をいくつか知っています。そして、それらを作った者は私が知る限りふたりだけ」
睫毛が上向き、ブラウンの瞳が再びアーシェリアスを捉える。
「とある本の著者、リンカ・イディアルと……」
女王の視線がチラリとザックに移り、告げられたもうひとりの名は。
「シャーリーン・ジェセ・ファーレン」
母、シャーリーンの名に、ザックの両目が大きく見開かれる。
(ザックのお母様が⁉)
アーシェリアスもまた驚きに瞳を丸くして瞬きを繰り返す中、女王が「あれを」と宰相に手を差し出す。
言われるまま宰相が女王に渡したのは、橙色の本だ。
「リンカ・イディアルが様々なレシピを記したこの本を、あなた方が探しているのだと宰相から聞きました」
探し求めていた本を前に、アーシェリアスは目を輝かせた。
その隣で、ザックは女王に頷いてみせる。
「その通りです」
「それはなぜ?」
「俺たちの旅の目的が〝幻の料理〟と呼ばれるものだからです。そして、情報を追っていたら辿り着きました」
「幻の料理……確かに、そんな噂もあったわね。それがこの本に載っているのかはわからないけれど、レディアーシェリアス、あなたを呼んだのは頼みがあるからです」
──あるのかもしれない。
だから、リンカ・イディアルの料理本を秘密裏に入手していたのでは。
アーシェリアスは、質問に答えもせずこちらから質問するのは恐れ多いと思いつつ、ジャガ……女王に尋ねる。
「もしかして、陛下はご存知だったんですか? 私の作った料理を」
尋ねられた女王は、そっと瞼を閉じた。
「……ええ。よく似た味付けの料理をいくつか知っています。そして、それらを作った者は私が知る限りふたりだけ」
睫毛が上向き、ブラウンの瞳が再びアーシェリアスを捉える。
「とある本の著者、リンカ・イディアルと……」
女王の視線がチラリとザックに移り、告げられたもうひとりの名は。
「シャーリーン・ジェセ・ファーレン」
母、シャーリーンの名に、ザックの両目が大きく見開かれる。
(ザックのお母様が⁉)
アーシェリアスもまた驚きに瞳を丸くして瞬きを繰り返す中、女王が「あれを」と宰相に手を差し出す。
言われるまま宰相が女王に渡したのは、橙色の本だ。
「リンカ・イディアルが様々なレシピを記したこの本を、あなた方が探しているのだと宰相から聞きました」
探し求めていた本を前に、アーシェリアスは目を輝かせた。
その隣で、ザックは女王に頷いてみせる。
「その通りです」
「それはなぜ?」
「俺たちの旅の目的が〝幻の料理〟と呼ばれるものだからです。そして、情報を追っていたら辿り着きました」
「幻の料理……確かに、そんな噂もあったわね。それがこの本に載っているのかはわからないけれど、レディアーシェリアス、あなたを呼んだのは頼みがあるからです」