破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】

　夕暮れの時刻。

　ファーレン城にて客間をあてがわれた一行は、夕食のためザックの部屋に集まっていた。

　エレガントな曲線を描く猫足テーブル。

　繊細な模様が施されたその卓上にはキャンドルが灯り、チキンステーキやキッシュ、パンにサラダやフルーツが並んでいる。

　侍女が皿に取り分けたキッシュをパクリと頬張ったノアが、もぐもぐと咀嚼しながら部屋を見回した。

「ねーねー、ザックってお屋敷に住んでるんじゃないの？」

「普段はな。公務で城に滞在することもあるから、ここでも生活できるように部屋があるんだ」

「へぇ～。じゃあ他の王子様たちも？」

「ああ」

　短く答えて、ザックはスープに口をつけた。

　すると、城では騎士としてザックの後ろに控えて立つエヴァンが代わりに話す。

「アーサー様はご自分用の屋敷があるが、第二王子殿下と第三王子殿下は陛下と同じ屋敷にお住まいだ」

「そうなんですね」

　実家住まいのようなイメージをアーシェリアスは頭に浮かべた。