破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
 プライベートと言われても、アーシェリアスにとって女王は女王だ。

 まして、ザックから不仲である話も聞いているので、どうしてもきついイメージが付きまとう。

 だが、断り続けるのも無礼に当たる。

「し、失礼します」

 とにかく角が立たないように、アーシェリアスはそっと女王の隣に腰を下ろした。

「材料の手配は済んだようですね」

「はい。宰相様にリストをお渡ししました」

「宰相からは、明後日には揃うだろうと先ほど聞きました」

「わかりました。届いたらすぐに作りますね」

 答えると会話が途切れ、噴水が奏でる水音だけが聞こえる。

 そんな静寂の中、アーシェリアスは勇気を出して口を開いた。

「あの……お伺いしてもいいですか?」

「ええ、どうぞ」

「肉じゃがをどこで知ったんですか?」

 アーシェリアスが遠慮がちに尋ねると、女王はやや冷えた眼差しで噴水を見た。

「あれは……シャーリーンが私の侍女だった頃、作ってくれた料理なのよ」

 シャーリーン王妃の名が出て、しかしその身分に耳を疑う。
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