破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】

「シャーリーン王妃様は侯爵家のご息女だったのでは……」

「複雑な経緯があるの。あなたにもあるのでしょう？」

　噴水を見つめていた女王の視線が、つい……とアーシェリアスに向かう。

「変わった料理を作れる、複雑な経緯が」

　──ドクリ。

　女王の言葉に心当たりがあるアーシェリアスの心臓が強く脈打った。

「あなたは、異世界からやってきたのではなくて？」

　ズバリ言い当てられ、アーシェリアスは驚愕して固まってしまう。

　その反応か答えとなり、女王は薄く微笑んだ。

「ああ、やっぱりシャーリーンの話は本当だったのね」

「ど……どういう、ことですか？　もしかしてシャーリーン王妃も異世界から……」

「いいえ、彼女は異世界にいた経験はないと思うわ。あるのは、恐らくリンカさんよ」

　スラスラと当然のように話をする女王に、アーシェリアスは正直ついていけなかった。

　完全に予想外の展開だからだ。

「あ、の、どうしてそんなにお詳しいんですか？」

「初めて肉じゃがを食べた日に、シャーリーンから聞いたのです」

　そうして、女王は懐古し瞼を閉じて語った。