破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
 シーゾーもパタパタと羽を動かしてついてくる。

「アーシェ! 急にどうしたの?」

「ごめん、その、ミアがいて」

 アルバートはいなかったが、確かにミアだった。

「会いたくないの?」

「そ、そうね。今はちょっと」

 苦笑するアーシェリアスにノアは「まあ、疫病神みたいだもんね」と同意する。

(疫病神……確かに今はそうかも)

 心臓には悪かったが、ミアの王都入りは確認できた。

 あとはフラグが徹底除去されるまでは会わないように努めるまで。

 いよいよ破滅エンドが先か、幻の料理が先かという状況になってきた気がするアーシェリアスは拳を握る。

「負けないわ! 幸せをこの手に!」

「よくわかんないけどこの手に!」

「モフー!」

 ノアとシーゾーが乗って。

「この手にー!」

 なぜか男性の声が続いたことに一同は「ん?」と目を丸くした。

 アーシェリアスたちが同時に声の方へと視線を移すと。

「やあ、お嬢さん方」

 容姿端麗な金髪の青年が、美しい笑みを携えていた。

「ど、どなたですか?」

 知り合いにこんな美形がいただろうかとアーシェリアスが戸惑っていると、バタバタと慌ただしい足音が近づいてくる。

「兄上!」

 駆けつけてきたのはザックだ。
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