破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
「でも、ザックのこと可愛がってるのが伝わってきたし、愛情深い方なのね」

「そうだな、家族で唯一の味方だ」

 そう語るザックの表情は柔らかい。

「ところで、買い物か?」

「ええ。でももう終わって、今からお城に戻るところなの」

「そうか。俺は遅くなりそうだから、夕食もノアとふたりで頼む」

「わかったわ。……あ、ザック」

 背を向け歩き出したザックをアーシェリアスが引き止めた。

「なんだ?」

 アーシェリアスはザックに近づき声を顰める。

「あなたのお母様は転生者じゃないって女王陛下が教えてくれたの」

「どういうことだ?」

 眉間に皺を寄せたザックは、意味を咀嚼しようとアーシェリアスの目を見つめる。

「シャーリーン王妃様は、リンカさんにお世話になっていたから料理を作れたみたい」

「初耳だな……」

「ザック、行くぞ。時間がない」

 アーサーに呼ばれ、ザックは「はい」と頷いた。

「すまない。時間が取れた時に詳しく聞かせてくれ」

「ええ、もちろん」

 頷くと、ザックは足早に兄を追う。

 その背中を見送ったアーシェリアスもまた、自分の成すべきことのために踵を返した。
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