破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
(この王子にしてこの従者ありね)
過去、おやきにつられて旅の同行を決めたザックを思い出し、アーシェはクスクスと笑う。
だが、女装させられ、コンテストに参加するのは確かに不本意だろう。
アーシェリアスは、未だ気が乗らない顔をしたザックの隣に移動する。
「ザックも付き合わせてごめんね。お詫びにおやき焼いてあげるから」
好物のおやきがあれば機嫌を直してもらえるはずだと思い口にしたのだが、予想に反してザックの表情は変わらない。
「……まあ、おやきもいいが、今はそれよりもほしいものが──」
ぼそぼそと、ザックが何かを言いかけた時……。
「あれ? ちょっと待って」
アーシェリアスは、前方を寄り添うようにして歩く男女の後ろ姿を見て、訝し気に眉を寄せた。
(あの派手な格好。後ろ姿にも関わらず、醸し出される尊大なオーラ……)
見覚えがあるのだ。
長身の男性が纏う煌びやかな服と装飾品。
加えて、可愛らしい花柄ワンピースの裾を揺らして歩くキュートな女性。
そのふたりは、アーシェリアスにとってできれば会いたくない人物を彷彿とさせる。
(もしかして、いや、そんなもしかしては欲しくないけど!)
どうか別人であれ。
そう願った直後、視線を感じ取ったのか男性が振り返った。
過去、おやきにつられて旅の同行を決めたザックを思い出し、アーシェはクスクスと笑う。
だが、女装させられ、コンテストに参加するのは確かに不本意だろう。
アーシェリアスは、未だ気が乗らない顔をしたザックの隣に移動する。
「ザックも付き合わせてごめんね。お詫びにおやき焼いてあげるから」
好物のおやきがあれば機嫌を直してもらえるはずだと思い口にしたのだが、予想に反してザックの表情は変わらない。
「……まあ、おやきもいいが、今はそれよりもほしいものが──」
ぼそぼそと、ザックが何かを言いかけた時……。
「あれ? ちょっと待って」
アーシェリアスは、前方を寄り添うようにして歩く男女の後ろ姿を見て、訝し気に眉を寄せた。
(あの派手な格好。後ろ姿にも関わらず、醸し出される尊大なオーラ……)
見覚えがあるのだ。
長身の男性が纏う煌びやかな服と装飾品。
加えて、可愛らしい花柄ワンピースの裾を揺らして歩くキュートな女性。
そのふたりは、アーシェリアスにとってできれば会いたくない人物を彷彿とさせる。
(もしかして、いや、そんなもしかしては欲しくないけど!)
どうか別人であれ。
そう願った直後、視線を感じ取ったのか男性が振り返った。