破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
質問の意図が全くわからず、ザックは訝し気に眉を寄せる。
しかし女王は、そんなザックを気にした様子もなく、クローシュと呼ばれる銀色の丸い蓋を被せた皿に注目した。
「部屋には宰相とアイザック、レディアーシェリアスのみで。他は下がっていてちょうだい」
「かしこまりました」
女王の指示に従い、侍女たちは一礼してサロンから出て行った。
宰相が侍女の代わりにそっとクローシュを持ち上げ、全ての料理をお披露目する。
出汁の香りを纏って現れた肉じゃがに、女王は目を見開いた。
「ああ……そう、これだわ。とても似てる」
「お味の方も似ているといいんですけど……」
シャーリーン王妃がどんな味付けにしたのかは不明なので、アーシェリアスはソワソワと落ち着かない気持ちだ。
「確認させていただくわ」
女王は優雅な手つきでフォークを手に取ると、まずは牛肉をひと口食べる。
柔らかな肉をゆっくりと噛みしめ、小さく何度も頷き、口元を押さえた。
「……懐かしい」
優しい味わいに女王は眉を下げて、肉じゃがに視線を落とす。
「この料理がとても好きだった。優しくて、どこか安心するこの味が」
出汁が染み込んだほくほくのじゃがいも堪能する女王の瞳が、ゆらゆらと懐古に揺れる。
そうして、女王はそっと瞼を閉じ……何かを決心したかのように再び開いたその双眸でザックを見つめた。
「アイザック。さきほどあなたはシャーリーンの手料理を食べた記憶がないと言ったわね」
「はい」
「……食べているのよ。あなたはこの肉じゃがを」
しかし女王は、そんなザックを気にした様子もなく、クローシュと呼ばれる銀色の丸い蓋を被せた皿に注目した。
「部屋には宰相とアイザック、レディアーシェリアスのみで。他は下がっていてちょうだい」
「かしこまりました」
女王の指示に従い、侍女たちは一礼してサロンから出て行った。
宰相が侍女の代わりにそっとクローシュを持ち上げ、全ての料理をお披露目する。
出汁の香りを纏って現れた肉じゃがに、女王は目を見開いた。
「ああ……そう、これだわ。とても似てる」
「お味の方も似ているといいんですけど……」
シャーリーン王妃がどんな味付けにしたのかは不明なので、アーシェリアスはソワソワと落ち着かない気持ちだ。
「確認させていただくわ」
女王は優雅な手つきでフォークを手に取ると、まずは牛肉をひと口食べる。
柔らかな肉をゆっくりと噛みしめ、小さく何度も頷き、口元を押さえた。
「……懐かしい」
優しい味わいに女王は眉を下げて、肉じゃがに視線を落とす。
「この料理がとても好きだった。優しくて、どこか安心するこの味が」
出汁が染み込んだほくほくのじゃがいも堪能する女王の瞳が、ゆらゆらと懐古に揺れる。
そうして、女王はそっと瞼を閉じ……何かを決心したかのように再び開いたその双眸でザックを見つめた。
「アイザック。さきほどあなたはシャーリーンの手料理を食べた記憶がないと言ったわね」
「はい」
「……食べているのよ。あなたはこの肉じゃがを」