破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
それは、ザックがまだ二歳の頃の話だ。
王が崩御し、城内は王位継承について激しい討論が日々交わされていた。
女王として君臨するのはミランダかシャーリーンか。
シャーリーンが王子を産んでからさらに悪化したふたりの関係が殺伐としてきていたある日。
『ミランダ様、覚えておられますか?』
庭園の噴水で鉢合わせたシャーリーンが遠慮がちに微笑んだ。
『私がまだミランダ様の元にお仕えしていた時、ミランダ様の好きな肉じゃがを我が子にも食べさせて、あなたみたいに喜んでもらうのが夢だと語ったことを』
『……そんなこともあったかしら』
『それが今日、叶ったんです』
輝くような笑顔で自分に報告したことを、女王はザックに語って聞かせた。
「偏食気味のアイザックが、美味しそうに完食してくれたのだと喜んでいたわ」
脳裏に過ぎし日々を描いているのだろう。
女王は懐かしそうに目を細めてから、真っ白な皿に肉じゃがを取り分け向かいの席に置いた。
「座って。あなたもお食べなさい」
「は、い……」
急な展開に、ザックはおずおずと椅子に腰かける。
フォークを手にし、黙々と肉じゃがを口に運んで……。
「こんなに美味いのに、なんで覚えてないんだ」
寂しそうに零し、俯いた。
王が崩御し、城内は王位継承について激しい討論が日々交わされていた。
女王として君臨するのはミランダかシャーリーンか。
シャーリーンが王子を産んでからさらに悪化したふたりの関係が殺伐としてきていたある日。
『ミランダ様、覚えておられますか?』
庭園の噴水で鉢合わせたシャーリーンが遠慮がちに微笑んだ。
『私がまだミランダ様の元にお仕えしていた時、ミランダ様の好きな肉じゃがを我が子にも食べさせて、あなたみたいに喜んでもらうのが夢だと語ったことを』
『……そんなこともあったかしら』
『それが今日、叶ったんです』
輝くような笑顔で自分に報告したことを、女王はザックに語って聞かせた。
「偏食気味のアイザックが、美味しそうに完食してくれたのだと喜んでいたわ」
脳裏に過ぎし日々を描いているのだろう。
女王は懐かしそうに目を細めてから、真っ白な皿に肉じゃがを取り分け向かいの席に置いた。
「座って。あなたもお食べなさい」
「は、い……」
急な展開に、ザックはおずおずと椅子に腰かける。
フォークを手にし、黙々と肉じゃがを口に運んで……。
「こんなに美味いのに、なんで覚えてないんだ」
寂しそうに零し、俯いた。