破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
 女王ミランダは、伯爵家に生まれ、気品も教養も申し分のない評判のいい娘だった。

 その評判は当時の王の耳にも届いており、王子の花嫁候補として名が上がっていた。

 婚約が決まると、ミランダ付きの侍女だったシャーリーンも共に城へ入った。

「結婚し、三人の王子に恵まれ、私の人生は順風満帆だった。けれどある日、シャーリーンが行方不明とされていた侯爵家の娘であることが判明して……王は、シャーリーンを第二王妃にと迎えた」

 それは、ミランダにとって青天の霹靂。

 しかし、宰相は王より聞かされていた。

「実は王は、ミランダ様と婚約される前に、シャーリーン様と出会っておりました」

 運命の出会いはカリドの森の奥。

 継母の悪質ないじめにより屋敷を追い出されたシャーリーンは、カリドの聖なる森に住む夫婦に保護された。

「それが、カリドに移り住んでいたイディアルご夫妻です」

 リンカの家に住み込み、カリドで働きながら生活を送っていたシャーリーンはある日、森で迷い怪我をした青年を助けたのだという。

「もしかして、その青年が……父上?」

 ザックが予想して口にすると、宰相が頷いた。

「ええ。城を抜け出したあげく、怪我までして歩けなくなったんですよ」

 当時を思い出しているのか、宰相は溜め息を吐いた。
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